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「退職代行」に動じない組織[経営エクスプレスNEWS vol.21]

    「退職代行」に動じない組織

    急な退職でも安定し続けるためのリスク管理

    1》退職代行で揺らぐ組織

    ある朝、突然「〇〇さんは本日以降、出社しません」と外部業者から告げられる。これが退職代行の現実です。その瞬間、会社には顧客対応、未処理案件、貸与品の回収や機密情報の確認といった課題が一気に降りかかります。本人とは話せないため、業務の進捗や顧客との約束など、本来引き継がれるべき内容の確認に、膨大な時間を奪われることになります。

    2》もはや他人事ではない

     株式会社東京商工リサーチの調査「2026年4月 企業の『退職代行』に関するアンケート調査」によると、2024年1月以降に退職代行を利用した退職者がいた企業は全体で8.7%、大企業に限ると21.3%でした。この数字は、退職代行が特別な事例ではないことを示しています。今はまだ経験のない会社であっても、明日の朝突然、連絡を受ける可能性は十分にあります。もはやどの企業にとっても、看過できない「経営リスク」なのです。

    【図】退職代行による退職を経験した企業の割合(単位:%)

    ※2024年1月以降

    全企業
    8.7
    大企業
    21.3
    中小企業
    7.8
    0510152025

    3》怖いのは、「最後の対話」の喪失

     退職代行で怖いのは、社員の離職そのものではありません。離職する本人との「最後の対話」の機会を失うことで、本人が抱えていた不満や悩み、業務の進捗などが見えなくなることです。属人化が進んだ組織ほど、この突然の遮断によって現場が混乱します。退職代行によって露呈するのは、もともと社内にあった弱点です。したがって、怒りで終わらせるのではなく、その弱点そのものに向き合う必要があります。

    4》突然の不在にも、立ち止まらない組織へ

    だからこそ、企業に求められるのは「ある日誰かが突然いなくなっても止まらない体制づくり」です。顧客との約束や進行中の案件、各種パスワード、貸与品の状況などを共有できる仕組みをつくることや、退職代行からの連絡を想定した「初動手順」をマニュアル化しておくことは極めて有効です。さらに、社員が日々の小さな不満や違和感を伝えられる、風通しの良い社風であることも欠かせません。突然の退職に動じない会社は、結果として社員にも顧客にも最大の安心を提供できます。日々の小さな違和感を見逃さず、業務をブラックボックス化させない姿勢が、これからの時代に求められるリスク管理です。経営者自らが共有を当たり前にすることで、組織はあらゆる衝撃に強くなります。