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その「思い込み」がうまくいかない原因かも? プロジェクトの成功について考える[経営エクスプレスNEWS vol.11]
本日のテーマ
その「思い込み」が原因かも?
プロジェクトの成功について考える
1》プロジェクト型業務の普及
昨今、日本の中小企業でもプロジェクト形式で仕事を進めるスタイルが浸透しています。こうした動きは、スピード感をもって課題解決に取り組むために有効な手段です。
一方で、スケジュール通りに進まない、予算をオーバーする、期待した成果に届かないといったケースも少なくありません。
2》プロジェクトの満足度
図は、一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会が実施した「企業IT動向調査2025」の報告書からの抜粋です。システム開発プロジェクトにおける、企業自身の品質満足度の状況(プロジェクト規模別・年度別)を示しています。なお、プロジェクト規模は月に100人未満が携わったものです。
24年度の回答を見てみると、「満足」は23.9%にとどまっています。15年度の「満足」は25.3%ですから、9年間で満足度はわずかに下がっています。

3》「独自性バイアス」に陥るリスク
これほどプロジェクト型の働き方が普及したにもかかわらず、満足度は高まっていないのはなぜでしょうか? その理由の一つとして考えられるのが「独自性バイアス」です。独自性バイアスとは、「自分たちの取り組みは他とは違う特別なものだ」と思ってしまう心理的傾向を指します。
もちろんプロジェクトの内容や規模は、会社により異なります。しかし、「うちは特別だから他社は参考にならない」と考えてしまうと、学ぶ機会を手放すことになってしまいます。
4》そのアイデアは過去に存在している?
自社の取り組みを唯一無二と考え、他社の事例をあまり参考にしないケースは少なくないようです。 しかし、どんなに画期的に見えるアイデアも過去の事例や知見を土台にしています。つまり、自社のプロジェクトにおいても、すでに誰かが似たようなことに挑戦している可能性が高いわけです。この認識さえあれば「独自性バイアス」に陥らず、外部から学びを得られます。
反対に、「うちは特別だから」と独自の方法に固執してしまうと、期待した成果が得られにくくなってしまいます。
プロジェクトを成功に導くためには、「自分たちの取り組みも過去の延長線上にある」という謙虚な視点をもつことが大切です。既存の成功例や失敗例を参考に、自社らしい取り組みをする。その積み重ねが、プロジェクトを成功させるはずです。